ハウスクリーニング業界の市場は、1兆5000億円以上とも言われています。その社会的背景には、近年の高齢単身世帯の増加や、女性就労者の増加による共働き家庭の増加によって、家の掃除の時間が確保できない場合や、外部のサービスを利用した方がメリットがある考える場合を増加させ、ハウスクリーニングサービスの需要を拡大させているものと考えられます。ハウスクリーニング業は、在宅一般家庭や不動産物件を対象として、その清掃を業務として行う事業です。特徴としては開業にあたり特別な許認可や届け出が不要である、特別に大きな機器などを必要としない、施設・設備に対して初期投資が少なくて済み、新規開業が比較的容易であるといえます。そのためハウスクリーニング業は、個人経営的な中小企業が数多く存在する業界となっています。
一人暮らしの高齢者や女性の社会進出の増加などによる共働き世帯の増加によって、ハウスクリーニング業界への需要は増加傾向にあって、それに伴ったハウスクリーニング業者も増えているということは先ほど述べましたが、一方でトラブルも増加しています。料金の体系やサービス内容は各業者まちまちです。利用する側にとって業者を選ぶ際の判断基準が少ないことや、専門技術を持たず安易に新規参入した業者のサービスの質などが問題となっているケースもあります。そのため、利用する側が安心してサービスを利用できるようにする方策等の整備が求められています。また、プロのスキルを持った人材や住宅で顧客との接客のスキルをもったスタッフ確保も課題となっています。さらに業界では、契約等におけるトラブルを防止して、ハウスクリーニング業に対する信頼を向上を図ることを目的に、平成21年1月に(社)日本ハウスクリーニング協議会を設立して、サービス・品質の向上を図るための事業や普及活動に取り組んでいます。
ところで、NPO法人日本ハウスクリー二ング協会が平成18年に実施したアンケート(全国都市部に在住の40~60代の方、1000人を対象)では、ハウスクリーニング業者に対する要望欄で「満足している」と回答した方は、2%でした。内容は、技術面の不満が多いものでした。今後、超高齢化社会の進行や単身世帯の増加などが見込まれる中、ハウスクリーニング業界は、高い伸びが予想される一方、事業者の認証やサービスや品質の向上、業界モラルの向上による消費者の安心確保やガイドライン作成などが課題といえます。